WATANABE, Sei-ichiro
渡邊 誠一郎
個人情報
1964年 静岡生まれ 東京大・理・地球物理学、理学博士(地球惑星物理学)経歴と関心の対象
熊澤峰夫名誉教授(以後、熊さん)は大学時代の恩師の一人、もっとも在学中は不倶戴天の敵だと感じていた。先輩方のオーバードクター状況をみて、大学院博士課程(地球物理学専攻)の途中で、山形大学理学部にまんまと就職。宿舎から車で左に曲がれば大学、右に曲がれば蔵王で、冬は右折が多かった。1993年に名古屋大学理学部地球惑星科学科に移ったところ、なぜか熊さんも東大からご帰還。私は名大着任後、実質的にはそのまま現在に至るのだが、組織は大学院重点化で1995年に理学研究科、2001年に環境学研究科と変遷。惑星形成論が専門。地球と太陽系の形成を、宇宙の進化と生命の進化をつなぐ結節点と捉え、その過程を計算機シミュレーションなどによって明らかにしていった。太陽系形成論はほぼ確立されたと思った1995年以降、太陽系以外の惑星・系外惑星が多数見つかり、太陽系とは似ても似つかぬさまざまな姿があることが分かって、さあ大変。こうした多様性を理解するための比較惑星系形成論(岩波講座地球惑星科学12巻『比較惑星学』第3章)や宇宙生物学の構築を目指している。現在は、特に固体微粒子が惑星の卵・微惑星になる段階「ちりも積もれば惑星となる」を大学院生とともに研究中(特定領域研究「太陽系外惑星科学の展開」、2004―2008)。
一方で、熊さんの全地球史解読計画をすぐ端で見るうちに、地球惑星科学を歴史構築科学として捉えることの重要性に開眼。21世紀COEプログラム「太陽地球生命圏相互作用系の変動学」(2004―2008)およびグローバルCOEプログラム「地球学から基礎・臨床環境学への展開」(2009―2013)に事業推進担当者として参画し、環境学を地球惑星科学(あるいはもっと広くビッグバンから現代社会への流れ)の観点から、人間が自らの運命を科学的に選択するための動的学問として整理しようともがいている。それに向けた第一歩として、名古屋大学出版会から『新しい地球学』(2008)を編集・上梓している。
科学哲学への興味は、著名な本を日本語で読み飛ばすくらいであった。しかし、戸田山和久さんと知り合って話すうちに、全地球史で培われた科学に対するわれわれの見方が哲学者にも共有される可能性のあることを感じて、ぐぐっと関心が高まった。最近は科学の特質は、自己正当化がきわめて精妙に行われるところにあると開眼した(この駄文も都合良く自己正当化しているが、もっともっと巧妙なのが科学!?)。
名大サロンなどをやって、いろいろな学問分野の人と話すのが(本当はワインを飲みながら話すのが)大好き!