NOUCHI, Rei
  野内 玲


個人情報

1978年静岡生まれ 名古屋大学大学院・文学研究科・哲学専攻 D3

経歴と関心の対象

 名古屋大学・工学部・物理工学科・応用物理学専攻卒業→同大学文学部3年次編入学→同大学院文学研究科進学→現在に至る。履歴書風に経歴をさらりと書くとこんな感じになるが、最初のステップがなにやら異彩を放っているようにみえるかもしれない。そこで、もう少し当時の自分の心境を振り返って補足すると、「科学の発見ってすごい。そんな科学を構築している人間の知識ってすごい。じゃあ人間ってなんだろう。その人間がみている世界ってなんだろう」というところだと思う。形而上学と認識論について知りたいというこんな単純な動機で、科学の分野から哲学へと迷い込んだわけである。
 哲学の大学院へと進学してからの最初の関心は現代分析哲学(言語哲学)であったが、戸田山研のゼミにこそこそと参加するにつれ、次第に科学哲学にも興味を持つようになった。どうも科学と哲学の間に自分の居場所を見つけたらしい。現在おもに関心を持っているトピックは科学的実在論の論争である。では、その論争はどういった問題を扱っているのだろう。特徴的な問いとしては、人間の目には見えない微粒子が実際に存在しているか、存在しているといえるか、そうした理論的対象物について科学理論は真理を述べているか、などがある。こうした問いに肯定的な態度をとるのが科学的実在論で、否定的な態度をとるのが科学的反実在論だ。哲学で伝統的に扱ってきた存在論と認識論の議論を、科学に特化する形で展開していると言ってもよいだろう。となると、実際の科学に目を向けなければ何も具体的なことを言えないのは明らかである。個人的には、どちらかといえば実在論にシンパシーを抱きつつ、あれこれと思いをめぐらす日々を過ごしている。
 以上のような関心をもっていることもあり、現場の科学者たちと交流をしたいという思惑は常日頃から持っていた。しかし、なかなかそれが実現できずにしょぼくれていた折に、周りがなにやらざわざわとしはじめた。聞くところによると、どうも科学者を巻き込んでワイワイやっているらしい。で、気がついたらいつのまにかその流れに巻き込まれていた。巻き込まれて面白いと思っている自分もいる。そんなわけで、この流れがもっと大きくなって、もっといろんな人を巻き込んで、みんなを面白がらせていけるような濁流になることを期待している。

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