Kumazawa, Mineo
熊澤 峰夫
個人情報
1934年 金沢うまれ 名古屋大 理 地球惑星科学OB(後期高齢者)経歴と関心の対象
総合的な視点で、細分化した地球科学諸分野を繋いで、新規の研究領域を開拓しようと試行錯誤をしてきた。「縫い目のない地球科学」を目指した島津康男の思想を継ぐ。関連分野間の壁が堅固で、しかもまだ日本が貧乏で研究手段が限られていた時代に育ったので、分野間の横断交流とその研究推進の実践的な方法論、研究手法や技術の自前調達確保など、新規の研究ニーズを満たすリソース確保に重点をおいてきた。そこで方法論屋を自称する。これまでの主な仕事は、地球構成物質の物理的性質と相平衡の実験的研究、地球内部構造の理解、そのための計測技術と超高圧高温装置の開発研究、実験的惑星科学の起動などだ。理論的な方法も少しは使うが基本的に実験室の愚直職人を気取る。地球内部の常時遠隔監視技術として開発してきたACROSS(精密制御定常信号システム)は、音響周波数領域における汎用の精密スペクトロスコピーとして使われる時代がくるのを楽しみにしている。定年の数年前にはじめた全地球史解読(重点領域研究)では、地球と生命と環境の共進化の全体像を描くことを目標に、広範な分野の研究者との連携推進に働いた。地球の進化過程では、地球表層に最も多量にあった物質(水素、酸素、炭素など)からできたバクテリア達が、太陽の光エネルギーを使って地球を酸素汚染の天体に変えるという事件をおこした。彼らが進化して知的な群生動物であるヒトができ、それが科学を生み出し、今、宇宙の摂理を探り、地球や生命の来し方行く末を考えはじめた。これも地球史上の大事件だ。「科学」は、地球上に発生した生命が環境を認識し生存と自己再生産に有効な機能として、自然に発生進化してできてしまった「新参もの」である。したがって、「ヒトも科学も地球科学の最新の研究対象」である、ということになる。科学を研究することを科学哲学と呼ぶ、と知ったので、老骨に鞭打ってその推進をはかりたい。それには、自然主義の科学哲学(者)と自然科学(者)との分野間交流をはかって学問的な連携融合をはかることからはじめることになる。