HIYAGON, Hitoshi
  比屋根 均


個人情報

1962年 大阪うまれ 東京大、工、金属,技術士(衛生工学,総合技術監理)

経歴と関心の対象

 大学院修士課程(工学系)修了後、某鉄鋼メーカーに就職、製鋼・鋼材部門と機械・プラント部門に在籍。環境設備開発や環境ビジネス探索に携わった後、近年はISO9001品質マネジメントシステムの改善維持などの技術組織の管理業務に従事する。2009年6月より休職し、現在、名古屋大学大学院情報科学研究科博士課程(後期課程)1年在学(戸田山研究室)。
 2003年:技術士資格取得、2005年:(社)日本技術士会中部支部内の'ETの会'(技術者倫理研究会)立上げに参画、現在同副代表幹事。技術者倫理の非常勤講師。テクノロジー・カフェの発案者/初代責任者。技術者倫理研究を通じて科学技術社会論学会にも参画。戸田山教授を含め『誇り高い技術者になろう』執筆陣とはETの会設立前後からのお付き合い。
 自らの技術系企業就職体験から、「大学では工学は教えてくれたが技術者になるための知識は殆ど何も教えられなかった」ことに不満があった。JABEEによる技術者教育認定は、工学教育を技術者教育に改変する動きとして高く評価するが、その実施者は引き続き工学教育者や哲学・倫理学者などで、技術者教育に必要なことは何か?についての議論も殆ど進んでいない。技術者OBも携わることがあるが、技術者がプロフェッショナルであるべき'技術の営み'についての体系的な理解が未だ確立しておらず、'技術者'というアイデンティティも無い現状をそのままにしていては、たとえ技術者が参画しても有効な技術者教育となる保証は無い。(例えば、技術者倫理では'注意義務'が言われるが、技術者にとっては単なる責められ損な「義務」にしかならない。結果論からの「注意」ではなく、事前に注意すべきことを見出すための知識とその応用力こそ大事なのである。)そういった問題意識から、今春より休職し、大学院で技術論研究を始めた。当面の課題は、新しい技術論ベースの技術者倫理教科書執筆と博士号の取得と心得ている。
 科学と技術の関係は、技術論の一つの外せない論点。科学は'知る'を旨とし、技術は'する・つくる'を旨とするが、'科学の営み'は'知るためにする'、'技術の営み'は'する・つくるために知る'から、両者の営みは補完的で不可分である。他方で、科学論が技術者にとって殆ど役立たないのは技術が科学に解消され得ないからだし、科学論が技術論に発展しないのは科学が技術に解消され得ないからであって、この両者は互いに区別されるべきものでもある。 哲学はこれまで技術について殆ど深めてこなかったが、ここでやろうとしている生きた実践的科学論の開拓、即ち'"知るをする"を知る'ことは、'"する"を知る'技術論とも相互貢献しあえるものと期待している。

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